原田大三郎 Daizaburo Harada坂本さんと初めてコラボレーションをやったのは1985年の筑波科学博の時の 「TVWAR」です。この「TVWAR」は音と映像を大々的にマルチメディア またインタラクティブ的に融合させたコンサートとしてはおそらく日本で初めて の試みだったでしょう。それから10年という年月がたち、今回D&Lで再びコラ ボレーションをするチャンスが訪れたわけです。
この10年という年月はテクノロジーの進歩にとっては十分すぎる時間でした。 音と映像の世界はこの進歩の恩恵を受け、坂本さんと僕の製作環境、また表現の 内容は激変しました。つまりいい意味で二人ともパワーアップしたわけです。 そのパワーアップした二人がD&Lに於いて再びコラボレーションをするという事 は、もちろん「TVWAR」の時に実験した、マルチメディア及びインタラクティ ブ性をより完成したものにする事は当然です。しかしその事よりもD&Lのプロジ ェクトを開始するにあたって二人の中にあった共通の意見は作品をアウトプット していくフィールドその物を変えたいという意見です。つまり、製作環境も表現 内容も変わったのに、二人とも相変わらず10年前と同じフィールドで作品をア ウトプットしていかなければならない事に対する苛立ちです。ですから今回この インターネットを使ったライブの配信の実験は二人にとって非常に重要な意味を 持っています。10年がんばってやってきた意味が初めてはっきりと証明される 事になるのです。
最後にこのプロジェクトの成功に協力してくださっている、すべての方々にお礼 を申し上げます。
日本を代表する映像作家・CGアーティスト。
1956年福岡生まれ。九州産業大学卒業後、筑波大学大学院総合造形コースで学ぶ。 '85年、修士課程修了後、庄野晴彦と結成したラジカルTVの活動で脚光をあびる。 この時期、つくば科学博覧会でのTV WAR(坂本龍一+浅田彰)や立花ハジメのラ イブ・ステージでの映像表現が高い評価を得ている。'89年、映画「ノー・ライフ・キング」(いとうせいこう原作/市川準監督)でCG監督。
'90年、NHKハイビジョン作品「MANDALA」制作。
'93年、NHK「驚異の小宇宙-人体II-」アート・ディレクション&CG制作。多数の映像作品を持つが、何といっても’93年のYMO再生東京ドーム・コンサー トや原点のTV WARのようにライブでの映像表現に関しては彼の右にでるものはい ない。’93年末のインタビューでは、テクノロジーの発展が映像をリアルタイムで作 り出せる時代に近づいていることに触れ、映像も音楽と同じようにライブ演奏する事へ の夢を語っている。
'93年CD−ROM+グラフィック・ブック+ペイパー・バックをワンセットにし た本格的なマルチメディア作品「AL(アーティフィシャル・ライフ)」を発刊。 '94年ハリウッドに事務所を設立し、世界の映画産業界への進出を狙う。
1956 10月21日福岡生まれ 1977 九州産業大学芸術学部入学 1983 筑波大学院芸術専門学群総合造形コース修了
- 『ビデオ83』ローマ・フォルクローレ・ロマーノ美術館
- 『ハラ・マニュアル』東京・原美術館
- 『第16回現代日本美術展』ビデオ部門佳作入賞/東京・東京都美術館
- 『オーストラリア・インターナショナル・ビデオ・ショウ』シドニー
- 『TV ROBOT 2』東京・西武美術館
- 『香港国際録影芸術展』香港・香港アートセンター
- 『電子植物園展』東京・WAVE
1984
- 『ホール109 オープニング VTR DISPOSE OF TOKYO』東京・渋谷東急109
- 『INTERIOR展』東京・パルコパート3
- 『山口勝弘 VIDEO SPECTACLE GARDEN展』における環境音楽制作 東京・佐谷画廊
- 『日本のVIDEO ART展』東京・WAVE
1985
- 『明日への造形 九州第五回展』福岡・福岡市美術館
- 『ハイテクノロジーアート国際展』東京・渋谷西武
庄野晴彦とビデオ・パフォーマンス・ユニット「ラジカルTV」を結成
筑波科学万博会場で「TV WAR」実施(映像:ラジカルTV/音楽:坂本龍一/コンセプト:浅田彰)
- ビデオ作品「TV WAR」発売
- 『新世紀末ライブ月世界旅行』細野晴臣とのジョイント 東京・後楽園ミニテント
- 『第一回東京国際ビデオビエンナーレ』立花ハジメとのジョイント 東京・朝日ホール
- 『立花ハジメ LIVE TAIYO-SAN』東京/大阪/他
1986 『NEW VIDEO JAPAN』招待作家として出品 アメリカ・ニューヨーク近代美術館
- 『第一回オーストラリア・ビデオフェスティバル』招待作家として出品
オーストラリア・シドニー- テレビ番組「浅田彰TV EV BROADCAST」制作
- ラジカルTVとして初のレコードとビデオ作品『A・V KIDS』発売
- ラジカルTVとして初の単独ライブ『RADICAL TV HYPER CYCLE LIVE』実施芝浦インクスティック
1987
- 『AUSTRALIAN VIDEO FESTIVAL』招待作家として出品 シドニー
- NHK教育「日本 その心と形」タイトル演出
1988
- 『JAPAN NOW-SWEDEN NOW』出品 ストックホルム
- 『元気が出るテレビ』タイトル制作
- 本格CGドラマ「サーキット・ナース」総合演出/CG制作
1989
- NHK『事故の博物館』映像制作/演出(出演:浅田彰/インゴ・ギュンター他)
- 映画「ノーライフ・キング」CG制作(市川準監督/いとうせいこう原作)
- マルチ・メディア・ソフト「HYPER TIMERS」制作
- NHK「噂だけの世紀末」映像演出
1990
- マルチメディア・ソフト「HYPER QUIREBOYS」制作
- NHK Hi-Vsion作品「MANDALA」制作
音楽:タンジェリン・ドリーム サウンド・エフェクト:ルーカス・フィルム- 東京ハイパーリアル展 東京・渋谷
1991
- 国際交流基金海外巡回企画「日本のビデオアート・80年代」 世界各国
- NTT−電話網の中の見えないミュージアム「ネットワーク易システム」出品
- NHKスペシャル「いま、世界が動く」CG制作
- NHKフルCG番組「DREAMS」CG制作
1992
- Hi-Vision CG「想像宇宙の電視図鑑」制作
- 「Hakone Mulutimedia & Art Exhibition」作品出品
1993
- NHK総合「クローズアップ現代」タイトル制作
- YMO再生コンサート「TECHNODON」映像制作 東京ドーム
- CD−ROMとグラフィックのハイブリッド作品集「AL(アーティフィシャル・ライフ)」発表
- NHKスペシャル「人体2−脳と心」
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